Poster Illustration for Tadami Beech Center (Spring)
Webギャラリーでのイラストの内容の解説に加えて、ブログの「もう一つのイラスト解説」では、実際のイラスト制作にあたっての出来事を綴っていきます。各イラストの内容の詳細につきましてはWebギャラリーをご参照ください。
もう一つのイラスト解説シリーズ No1
只見町ブナセンター 春版 ポスターイラスト(2013年)
現在のようなスタイルになったイラスト第1作目の作品です。
それまでも自分なりに只見を歩き、イラストを描き、説明も加え、それなりに調べて分かったつもりでいましたが、実際に依頼を受け、只見の良さを体感している人々と交流していくことで、理解が深まることを学び、その理解が形に表れた初めての作品であると言えます。この作品に関わることで、現地での交流や更なるイベントへの参加など、自分の行動にも変化が現れました。イラストという概念だけでは伝えきれない思い入れのある作品です。
イラストを制作するにあたり、最初に参考として頂いたのは、黒谷・白沢集落のいわなの里の上流の雪渓写真でした。山肌の削られた箇所だけが写真の大部分を占めていて、イラストとしてどう組み立てたら良いか考える以前に、正直何を意図した写真かを理解するのに時間がかかりました。
依頼を頂いた4月上旬は、他の方から、黒谷・白沢集落~いわなの里までの約5キロは除雪をしていない状態で、ゴールデンウイークの頃に雪が解けたとしても、(2011年の)災害のため林道がまだ何ヶ所も崩壊していて、歩いて行くしか方法がないと聞いていました。
自分で現地へ赴くのもままならない状況だったので、頭の中を整理するために、自分からもイラストの題材のヒントとなりそうな写真を先方に送ったり、以前から只見の地形に惹かれて写真を撮りに訪れていた知人(現在、芸術倶楽部ただみで一緒に活動しているTakiguchi氏)に、山肌の削られた箇所の写真についての解釈を伺ったり、まずは意図を着実に受け取ってイラストのイメージをクリアにする作業になりました。
それ以前から色々調べながらイラストを描いていて説明なども加えていたので、雪食地形やモザイク植生などの情報はかじっていたつもりですが、本だけ読んでいては実践では生かせないとはこういうことか、という目から鱗の体験でした。
試作なども送りながら進めているうちに、雪食地形部分だけではどうも絵になりにくいということで、新たに参考写真もいただき、只見の一般的な風景を題材に進めることになりました。少しお手間をとらせることになってしまいましたが、このようなやり取りがあったおかげで、只見の一般的な風景の中に、雪食地形などの特徴を興味深く織り込んだ一枚のイラストに仕上がったのではないかと思います。
このブログでは、実際のやり取りの際に頂いた写真は掲載しませんが、実際にポスターのイラストの題材になった風景は、「只見BRの代表的な景観(雪食地形が集落の裏にまで迫る)」として、只見ユネスコエコパークパンフレットの表紙でもご覧いただけます。
もう一つのイラスト解説 シリーズ No1
只見町ブナセンター 春版 その1
只見町ブナセンター 春版 その2
只見町ブナセンター 春版 その3
イラスト解説(英語)
Poster Illustration for Tadami Beech Center (Spring)